やす先輩40代半ば、転職10回の管理職。上場もベンチャーもブラックも経験してきました。失敗も学びも交えながら、キャリアや働き方に悩むあなたへ“現実的な解決策”を届けます。
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退職を伝えた途端、上司から「給料上げるから考え直してほしい」と言われた。
そんな「退職引き止め 給料アップ」の場面、どうしますか?
一見チャンスに見えても、
・なぜ今になって昇給なのか?
・好条件を提示する“本音”はどこにあるのか?
・残った人は本当に幸せなのか?
多くの人がここで迷い、後悔しています。
この記事では、「引き止めの給料アップ」が示す会社の心理と、残留・退職どちらを選ぶべきかを、やす先輩の実体験を交えて解説します。
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退職引き止めで給料アップを提示される人の特徴
退職を申し出たときに「給料を上げるから残ってほしい」と引き止められる人には、明確な共通点があります。
それは、組織の中で“替えが効かない存在”になっている人です。
単なる「勤続年数が長い人」ではなく、成果・信頼・再現性の3つを兼ね備えているタイプこそ、会社にとって“辞められたら困る人”なのです。
ここでは、そんな「引き止め対象」になる人の特徴を掘り下げていきます。
組織の中で“穴を埋めにくい存在”である
退職引き止めの対象になる人は、その人が抜けた瞬間に業務が止まる人です。
つまり「誰でもできる仕事」ではなく、「あの人しかできない領域」を持っている人です。
たとえば以下のようなケースです:
- 特定の顧客・取引先との信頼関係を築いている
- システムや工程など、業務フローを深く理解している
- チームのキーマンとして周囲を動かしている
- トラブル時に最初に相談が集まる存在
会社から見れば、こうした人の退職は「損失」ではなく「リスク」です。
だからこそ、「辞めないでほしい」というメッセージが“給料アップ”という形で出てくるのです。



会社は“情”で引き止めているように見えて、実は“損益計算”で動いています。
穴を埋めるコストが高い人ほど、給料交渉のカードを切られやすいんです。
専門性・顧客関係・リーダーシップが強み
退職を引き止められる人には、次の3つの力がバランス良く備わっています。
1. 専門性
社内外で「この分野なら〇〇さん」と名前が挙がるほどの知識やスキルを持つ人。
代替要員を育てるのに時間とコストがかかるため、会社は離脱を避けたいと考えます。
2. 顧客関係
クライアントや取引先との関係構築力が高く、信頼が厚い人。
その人がいなくなると顧客が離れるリスクがあるため、会社は「残ってもらう」ために給料アップを提示します。
3. リーダーシップ
チームをまとめ、部下の成長を支えている人。
管理職でなくても「周囲を動かす力」がある人は、“数字以上の影響力”を持つ人材と見なされます。
こうした人たちは、会社にとって“人材”ではなく“資産”。
だからこそ、給与という“条件”をテコにしてでも引き止めたいのです。



「給料アップ=評価された」ではなく、「替えが効かない」と判断されたということ。
認められたように感じても、その背景を冷静に見ておくべきです。
「辞められたら困る給料」の構造とは
引き止めで提示される“給料アップ”には、明確な構造があります。
会社の心理を数式にすると、こうです:
「あなたの年収 × 残業コスト × 採用・教育コスト」 > 「昇給で引き止めた場合のコスト」
つまり、「辞められたら困る人」ほど、一時的な昇給で済むなら安いという計算が働いています。
実際、退職後に同じレベルの人材を採用・育成するには、年収1.5〜2倍のコストがかかるとも言われています。
そのため、会社側の論理はこうです:
- 「この人を残すために50万円上げる方が安い」
- 「辞められたら100万円以上の損失になる」
つまり、“評価”ではなく“リスク回避の対策”としての昇給なのです。



給料を上げてもらうと嬉しいけど、それは“感謝”ではなく“延命”。
だからこそ、そのお金に感情を委ねると、後で必ずモヤモヤが残ります。
引き止めの裏にある“会社の本音”とは?
退職引き止めの裏には、次のような“会社の都合”が潜んでいます。
- 採用・教育コストを抑えたい
→ 新人採用や育成にかかる手間を避けたい。 - 人手不足のタイミングを乗り切りたい
→ 業務繁忙期・大型案件など、抜けられると困る時期に発動しやすい。 - 社内評価の連鎖を防ぎたい
→ エース社員の退職は「他の社員の離職」を誘発する恐れがある。 - 経営層のメンツを守りたい
→ 「優秀な人材を逃した」と社内で責任を問われたくない。
つまり、「あなたの将来を真剣に考えての昇給」ではなく、
“今この瞬間の都合”を解決するための引き止めである可能性が高いのです。



「残ってほしい」と言われたとき、
会社が“あなたの未来”を見ているのか、“自分たちの都合”を見ているのか。
この見極めができる人ほど、キャリアで後悔しません。
退職引き止めで給料アップを提示される人は、「評価されている人」ではなく「依存されている人」であるケースが多いです。
もちろんそれは誇るべき実力ですが、同時に“会社にとっての都合の良い存在”でもあります。
一度立ち止まって、
「自分が評価されているのか」「ただ手放したくないだけなのか」
この2つを切り分けて考えることが、後悔のない決断への第一歩です。
給料アップの引き止めには「本音」と「限界」がある
退職を伝えた瞬間に「給料を上げるから残ってほしい」と言われる。
それは一見、「評価されたサイン」のように感じるかもしれません。
しかしその裏側には、会社の“戦略的な本音”と“限界のライン”が存在します。
多くの人が引き止めの好条件に心を動かされ、残留を選びますが、
数ヵ月後に「やっぱり辞めておけばよかった」と後悔するケースが後を絶ちません。
なぜなら、その給料アップは“永続的な約束”ではなく、“一時的な延命措置”であることが多いからです。
ここでは、引き止め時の“好条件”に潜む本音と限界を、3つの視点から深掘りしていきます。
給料アップは“長期的な昇給”ではなく一時対応
退職引き止めで提示される「給料アップ」は、中長期の評価制度に基づく昇給ではありません。
ほとんどの場合、“その場限りの特例対応”として処理されています。
会社にとって重要なのは、「今この瞬間、辞められないようにすること」。
昇給を「制度変更」や「評価見直し」ではなく、臨時手当・特別昇給の形で処理しているケースが多いのです。
その結果、こんな現象が起きやすくなります。
- 翌年度の昇給査定が“ゼロ”になる
- 同僚との給与バランスが崩れて孤立する
- 昇給が“固定費の負担”として扱われ、評価の伸びしろがなくなる
つまり、「今だけ高く見える」だけで、将来的な成長報酬とは別物。
短期的には満足しても、長期的にはキャリアの停滞を招きかねません。



給料アップは“ボーナス延命策”のようなもの。
その瞬間は得した気分でも、次の成長チャンスが削られることが多いんです。
本音は「穴埋めコスト」より安く済むから
引き止め時の給料アップの“本音”は、「あなたを評価しているから」ではなく、
「辞められるともっとコストがかかるから」という冷静な経営判断です。
実際、採用と育成にかかるコストは1人あたり年収の1.5〜2倍とも言われています。
それに比べれば、「月5万円上げて残ってもらう」方が圧倒的に安い。
つまり、会社にとっての引き止めは“投資”ではなく“節約”です。
裏側の計算式はこうです:
採用+教育+引継ぎコスト > 給料アップによる残留コスト
会社は感情で動いているのではなく、損得で動いています。
そしてこの引き止め策は、経営層から見ると“合理的なリスク回避”にすぎません。
そのため、あなたのキャリアビジョンやモチベーションまでは考慮されていないのです。



引き止めの昇給は「愛」ではなく「損得」。
その金額の裏には、“あなたを残す方が得”という計算があると知っておきましょう。
引き止め成功率が高くても“定着率”は低い
「退職引き止め 成功率」という言葉がありますが、
実は残留した人の多くが1年以内に再び辞めているというデータがあります。
なぜか?
答えはシンプルで、「給料以外の不満が解消されていない」からです。
たとえば以下のようなパターンです。
- 上司の評価や人間関係が変わらない
- 成長機会がなく、モチベーションが下がる
- 残業・人員不足など、構造的な問題が放置されている
このような“根本原因”が残ったままでは、いずれ再び同じ悩みに直面します。
つまり、引き止めの瞬間は成功しても、「定着の成功率」は極めて低いのが実情です。
しかも、残った本人の心理にはこうした葛藤が生まれます:
- 「給料で残った」と思われる後ろめたさ
- 「辞めると言わなきゃ上がらなかった」不信感
- 「次に辞めたいと言ったらどう思われるか」という恐れ
結果として、職場に居続けても本気で力を出せなくなるケースが少なくありません。



給料が上がっても、信頼が戻らなければ結局は続かない。
“数字”ではなく“信頼”でつながる職場じゃないと、人は長くは頑張れません。
退職引き止めによる給料アップは、「嬉しい一時金」ではあっても「未来の保証」ではない。
その背後には、会社の損得計算と短期的な対応策があるだけです。
もし好条件を提示されたら、こう考えてください。
「この昇給は、未来の評価か、それとも一時しのぎか?」
その問いに“後者”の答えしか見えないなら、
あなたが成長できるのは「残ること」ではなく、「次のステージに進むこと」です。
「辞めると言ったら昇給」その瞬間に見える“会社の評価軸”
退職意向を示した瞬間にだけ昇給・昇格が提示される。この出来事は、あなた個人の価値というより会社の評価軸=“平時はコスト、離職時はリスク”という発想を露わにします。ここでは、そのサインの読み解き方と実務上の注意点を3つに整理します。
普段の努力を評価していなかった会社のサイン
「辞める」と言った途端に金額が動くのは、平時の評価が遅延・不足していた証拠です。
- 平時:評価会議・等級制度・昇給テーブルに従い“年1回で微修正”
- 退職局面:“即日で大きく上げる”=制度外の例外運用
このギャップは、次を示唆します。
- 成果の可視化・推薦が上層に届いていない(マネジメントの詰まり)
- 等級・給与レンジが現場実態とかみ合っていない(制度設計の陳腐化)
- 「辞めると言ったら昇給」が社内慣行になっている(静かな不公平の常態化)
対応のコツ(メモに残すべき問い)
- 平時の評価で“何が、どの指標で、どれだけ”低く見積もられていたのか?
- 例外昇給後、評価制度の改訂予定はあるのか?(ないなら再発確実)
- 上司・人事との1on1で、評価の遅延要因(情報/制度/人)を特定したか?



退職局面でだけ金額が跳ねる職場は、普段の“見立て”が鈍い。評価の遅延は信頼の遅延です。
昇給は「信頼」ではなく「取引」に変わる瞬間
この場面の昇給は、しばしば“信頼の報酬”ではなく“残留の対価”として提示されます。
- 文脈が「感謝・評価」ではなく「条件提示・交渉」へシフト
- 会話が「これまでの貢献」より「今、残るか否か」に収束
- 施策が「制度改定」ではなく「個別例外」に留まる
すると関係性は、
信頼(長期)→取引(短期)
に変質。受け取る側も職場を見る目が“情”から“損得”へ移り、モチベーションの質が変わります。
見極めチェック
- 提示理由が「あなたのこれまでの成果」ではなく「今いなくなると困る」になっていないか
- 金額以外(裁量・役割・評価者変更・人員補強・残業是正)の構造対策が並走しているか
- 「辞める と 言ったら 昇格」等の肩書だけ先行し、権限とリソースが伴っているか



取引で延命した関係は、次の“条件”でまた揺れます。信頼は制度と行動の一貫性でしか回復しません。
残留しても昇給が続かないケースの実態
カウンターで年収が上がっても、翌年以降の伸びが頭打ちになる例は多いです。理由は3つ。
- 例外昇給でレンジ上限に近づき、次回査定の伸び代が枯渇
- 周囲との賃金バランス是正圧力で、調整的な据え置きが増える
- 評価の根本(評価者・制度・配賦原資)が変わらず、“今年だけの特例”で終わる
典型シナリオ
- 残留直後:年収+30〜80万円 → 心理的には安堵
- 半年後:体制・人員・上司は不変 → 業務負荷はむしろ増
- 1年後:査定ゼロ〜微増 → 「結局、あの時だけ」感が強まる → 再転職へ
残留を選ぶなら“セットで勝ち取る”べき項目(金額以外)
- 役割定義(ミッション・KPI・決裁権)を書面化
- リソース(採用/外注/予算)の確約
- 評価者変更 or ダブル評価・評価会議への事前資料合意
- 労働時間・負荷の上限(繁忙期の明文化)
- 次回改定の評価基準とタイムライン



金額は“今”を救う。仕組みは“未来”を救う。残るなら、仕組みまで取りにいきましょう。
「辞めると言ったら昇給」は、平時評価の歪みと、離職リスク回避の思考を映す鏡です。
残留を選ぶなら、金額だけでなく評価制度・役割・リソースという“構造”を同時にアップデートできるかが勝敗。
そこまで踏み込めないなら、昇給 しない なら 辞めるではなく、“信頼が回復するか”を基準に次の一手を選びましょう。
やす先輩の体験談|「給料アップ」で残った後に後悔した話
当時の状況:退職交渉で突然「年収+50万円」を提示された
当時の私は、長時間労働と評価の不透明さに限界を感じていました。
チームの成果を出しても上司の評価基準は曖昧で、昇給もほとんどなし。
「このままではキャリアが止まる」と思い、転職を決意。
退職の意思を伝えた翌日、部長から呼び出されました。
開口一番、「給料を上げるから、もう少し考え直してくれ」と言われたのです。
提示されたのは年収+50万円。数字だけ見れば大きな条件改善です。
当時の私は戸惑いました。
「やっと自分の努力が認められたのかもしれない」
「転職せずにこのまま頑張るのもありかも」
そう思いかけたのを覚えています。
でもその瞬間、心のどこかで違和感もありました。
「なぜ、辞めると言って初めて上がるのか?」
それが頭から離れなかったのです。



給料が上がると、つい“認められた”と錯覚します。
でも、そのお金が“評価”ではなく“引き止め料”なら、本質は何も変わらないんですよね。
感じたこと:一瞬うれしかったが、心のモヤモヤは消えなかった
引き止めの言葉を受けた瞬間は、正直うれしかった。
「自分の存在が必要とされている」と感じたからです。
でも、帰り道の電車の中でふと我に返りました。
思い返せば、数年間、頑張っても評価は曖昧。
残業も多く、休日出勤も当たり前。
それでも誰も気づいてくれなかったのに、“辞める”と言った瞬間だけ対応が変わった。
それは、私自身が望んでいた“信頼の証”とは違いました。
その夜、妻に相談すると、彼女の一言が胸に刺さりました。
「やっと本音を言ったのに、お金で引き戻されていいの?」
その言葉で、私は自分が「認められたい」よりも「理解されたい」と思っていたことに気づきました。



心が納得していないのに残ると、どんな昇給も空しく感じます。
人は“待遇”より“信頼”で動くものなんですよね。
行動:半年後に再び転職活動を開始
残留を選んだ私は、最初の1〜2ヶ月こそ頑張りました。
でも、状況は何も変わらなかった。
上司の管理スタイルも、チーム体制も、評価制度もそのまま。
気づけば、「給料を上げてもらったから辞めづらい」という心理的な縛りだけが残っていました。
それが逆にストレスになり、以前よりもモチベーションが下がっていきました。
半年後、私は再び転職活動を再開。
「今度こそ、自分が納得できる環境を選ぼう」と決めました。
そのときは、給料ではなく“働く目的”と“人間関係”を軸に企業を探しました。



残る理由を「お金」にした瞬間、辞める自由を自分で奪うことになります。
仕事は“条件”ではなく“納得”で続くものです。
結果:給料は変わらず、精神的な満足度が大幅に上がった
転職後の年収は、以前とほぼ同じ。
むしろ、ボーナスは少し減りました。
でも、毎日のストレスが圧倒的に減ったんです。
上司との1on1が定期的にあり、成果だけでなくプロセスも評価される。
チーム内でも意見が言いやすく、挑戦がポジティブに受け止められる。
「ここなら長く働けそうだ」と心から思えました。
何より、会社に“居させてもらう”のではなく、
“自分で選んで働いている”という感覚を取り戻せたことが大きかった。



年収が50万円上がるより、“自分を取り戻す感覚”のほうが価値がある。
精神的な余裕が、長期的にはキャリアの伸びにつながります。
学び:お金で迷うと、本音が見えなくなる
この経験を通して強く感じたのは、
「お金は判断を鈍らせる」ということ。
たしかに給料は大事です。
生活を支え、努力を形にしてくれる大切なもの。
でも、本音を押し殺して残った瞬間から、心は少しずつすり減っていく。
引き止めの条件に揺れたときこそ、自分に問いかけてほしい。
- 今、給料が上がっても、信頼関係は取り戻せるか?
- この職場で、心から成長できる未来が見えるか?
- 「残る理由」が条件だけになっていないか?
私はその問いに“いいえ”と答えた瞬間、ようやく本音を選べました。
結果として転職は正解でした。



給料アップは悪いことじゃない。
でも、“心の納得”を置き去りにしたまま残ると、いつか必ず同じ迷いが戻ってきます。
引き止めの昇給は「評価」ではなく「延命」であることが多い。
その瞬間の安堵より、自分の信念に正直でいられる選択をした方が、長い目で見て後悔しません。
“お金”に揺らぐ瞬間こそ、自分のキャリアの軸が試されるときです。
「残る or 辞める」を判断する3つの質問
退職の引き止めで提示される「給料アップ」や「昇格」。
その瞬間に感じるのは、驚きと迷い、そして少しの承認欲求。
しかし、本当に残るべきかどうかを決めるには、感情ではなく“構造”と“信頼”で判断することが大切です。
カウンターオファー(残留提案)に応じるか迷ったとき、
やす先輩が実際に使った「3つの質問」を紹介します。
これを自分に問いかけるだけで、“今は残るべきか” “次に進むべきか”が明確になります。
給料アップの根拠は“感謝”か“引き止め”か?
まず確認すべきは、その昇給の背景です。
- 「あなたの努力を正当に評価した結果」なのか
- 「辞められると困るから急いで出した条件」なのか
この違いを見極めることが、残留を決める最大のポイントです。
もし本当に感謝と評価が込められているなら、
上司や人事は“普段からその努力を見ていた”はず。
一方で、退職を伝えた途端に昇給を提示してくるなら、
それは「信頼の再構築」ではなく「時間稼ぎ」の可能性が高いです。
見抜くコツは、提示された内容が「制度内」か「特例」か。
特例であれば、その昇給は一時的な処置にすぎず、長期的な安心にはつながりません。



「ありがとう」でなく「考え直して」で出された昇給は、感謝ではなく取引。
“評価の延長線”にないお金は、信頼を取り戻す材料にはなりません。
評価制度・人間関係・将来性は変わるか?
給料だけでなく、「なぜ辞めようと思ったのか」という根本に目を向けましょう。
多くの人が退職を決意する理由は、
- 不公平な評価制度
- 理解のない上司との関係
- 将来の見通しが立たない職場構造
のどれかに該当します。
もしその根本が変わらないまま昇給だけされても、
数ヵ月後には同じストレスを繰り返すだけ。
残留を検討するなら、次のような質問を会社側にぶつけてみてください。
- 「今後、評価制度はどのように改善される予定ですか?」
- 「チーム体制や上司の体制変更は考えていますか?」
- 「新しい業務やスキルアップの機会は得られますか?」
これに対して明確な答えが得られないなら、
会社は“引き止めること”しか考えていないというサインです。



お金で残っても、制度が変わらなければ“理由”は残る。
信頼できる上司は、金額より“仕組みの改善”を提示してくれます。
自分が成長できる環境はどちらにあるか?
最終的な判断軸は、「自分が成長できる場所かどうか」です。
給料アップは短期的なモチベーションを上げますが、
環境や役割が変わらなければ、1年後には慣れと停滞が訪れます。
たとえば
- 新しい挑戦のチャンスがある
- 尊敬できる上司・同僚がいる
- 意見を言える心理的安全性がある
これらの要素がそろっている環境は、確実に成長を促します。
一方、「同じ仕事を続けるけど給料だけ上がる」環境は、
未来の選択肢を狭めるリスクが高い。
短期的には得でも、長期的には“経験の陳腐化”につながります。
転職先が決まっていない場合でも、
ミイダスなどで市場価値を可視化し、
「今の自分の立ち位置」と「成長可能性」を比べてみることをおすすめします。



給料は“今”を支える。
成長は“未来”をつくる。
自分の未来を選べる環境こそ、本当の好条件です。
「残る or 辞める」を迷うときは、お金ではなく“信頼・構造・成長”の3軸で考えること。
- 昇給の理由が“評価”ではなく“引き止め”なら、信頼は崩れている。
- 評価制度・人間関係・将来性が変わらなければ、未来も変わらない。
- 自分の成長が止まる場所は、どんな好条件でも長くはいられない。
退職交渉やカウンターオファーは「条件の戦い」ではなく、
「信頼を再構築できるか」の見極めの場です。
お金よりも“納得”を優先できた人ほど、キャリアは確実に伸びていきます。
あなたは“好条件”に揺らいでいませんか?
「給料倍にする」「今だけ好条件」強い言葉ほど判断を鈍らせます。ここでは“納得で選ぶ”ためのセルフチェックと、残留・退職いずれを選ぶ場合でもブレない行動指針をまとめます。点数化(できている=2/どちらとも言えない=1/できていない=0)し、合計6点未満は要再考の目安に。
セルフチェック(各2点)
給料以外に我慢していた要素はなかったか?
例:評価の不透明さ/人員不足による長時間労働/上司との価値観不一致/意思決定の遅さ
→ 我慢が3つ以上あるなら、「退職引き止め 残って良かった」より再燃リスクが高い。
上司・同僚との信頼関係は回復できそうか?
回復の具体策(評価者変更・1on1増・権限付与)が“書面や計画”で示されているか。
→ 口約束のみ=揺らぎ要因。「退職引き止め もったいない」に流されやすい状態。
昇給の根拠は「成果」ではなく「引き止め」では?
制度内の査定結果か、例外運用かを確認。
→ 例外昇給=短期延命の可能性。「退職 引き止め 給料 倍」ほど後年度の伸びしろが枯れがち。
今後も同じ評価が続く仕組みがあるか?
来期の評価基準・レンジ・タイムラインが明文化されているか。
→ 仕組みの更新がないなら、“今年だけ上がった人”になる確率が高い。



お金でモヤモヤをごまかすと、半年後に“同じ悩み+後悔”がセットで返ってきます。
判断をクリアにする「3つの可視化」
- 可視化①:原因の棚卸し(事実のみ箇条書き)
例:「月残業45h/評価者と方針不一致/採用ゼロで業務増」 - 可視化②:会社からの改善約束(“金額以外”を文書化)
評価者変更、補充採用、決裁権、KPI定義、1on1頻度など - 可視化③:自分の市場価値
現年収・経験・スキルで他社オファー見込みを数値で把握(年収レンジ/役割の幅)
「残る」を選ぶならセットで確約したい項目(テンプレ)
- 役割定義:ミッション/KPI/決裁権を明文化
- リソース:採用枠◯名、外注予算◯円、締切再設定
- 評価:評価者A→Bへ、期中評価の中間レビューを月1で設定
- 労働環境:残業上限、繁忙期の代休運用を文書化
- 昇給の継続性:来期以降のレンジ・条件・評価会議日程を明示



ひな形フレーズ:「残留の検討材料として、上記5点を文面で共有いただけますか?」
「辞める」を選ぶなら今日やること(ミニToDo)
- 転職軸を3行で固定(例:裁量・成長・評価の透明性)
- 職務経歴書を“成果×再現性”で1枚更新
- リファレンス(顧客・同僚)に事前アポイント
- 面接想定問答:カウンターオファーを断った理由=構造が変わらないため
迷いを減らす一言置き換え(自分への宣言)
- ×「今、給料がいい」
- ○「1年後の自分が納得している」
- ×「好条件を逃すのはもったいない」
- ○「自分の基準を下げる方がもったいない」



“好条件”は外から与えられるもの。“納得条件”は自分で決めるもの。ここを取り違えなければ、結論は自然に出ます。
まとめ
退職引き止めで給料が上がるというのは、間違いなくあなたの実力が評価されている証拠です。
それだけ会社にとって“代わりが効かない存在”であり、あなたの貢献が数字として見えているということ。
しかし、そこで立ち止まって考えてほしいのは、
その昇給が「信頼への報酬」なのか、それとも「損得の取引」なのかという点です。
引き止めによる昇給の多くは、残念ながら「一時的な延命策」で終わることが少なくありません。
根本的な評価制度や人間関係、仕事のやりがいが変わらなければ、
一度感じた違和感は必ずまた顔を出します。
もし今、迷いがあるなら
一度立ち止まって、自分の市場価値を客観的に数値で可視化してみてください。
ミイダスなら、年収レンジやスカウト数が具体的に表示されるため、
「今の好条件は本当に妥当なのか?」を冷静に判断できます。
給料の多寡だけでなく、
「どんな環境で、どんな仲間と、どんな成長を描きたいのか」。
その答えを明確にできた人から、後悔のないキャリア選択ができるようになります。
お金でつながる関係より、信頼と納得で続く関係を選ぶ。
それが、長いキャリアで最も価値のある“好条件”です。
よくある質問
- 退職引き止めで給料アップは違法?
-
原則として違法ではありません。
ただし、「辞めたら不利益になる」「残らないと評価を下げる」といった心理的圧力を伴う引き止めは、労働基準法やパワハラ防止法に抵触する可能性があります。
引き止めは“提案”であって“強制”ではありません。判断の自由は常にあなたにあります。 - 給料アップを提示された場合、交渉してもいい?
-
もちろん可能です。むしろ、条件を比較検討する姿勢は正当な交渉力です。
ただし注意点は、「残る前提」で話を進めないこと。
その場の感情で「残ります」と口にしてしまうと、後で撤回しづらくなります。
提示された条件はメモやメールで記録し、冷静に比較しましょう。 - 退職を伝えたら昇給したけど、また辞めたいときは?
-
問題ありません。退職の意思はいつでも撤回・再提示可能です。
その際は、「前回の引き止め後に、実際どんな変化があったか」を具体的に伝えましょう。
例:「昇給はありましたが、評価制度や体制は変わらなかったため」など。
感情論ではなく事実ベースの説明が円満退職のコツです。 - エース社員が退職するとき、会社はどんな対応をする?
-
多くの場合、“短期的な好条件”での引き止めに走ります。
たとえば、特別昇給・役職付与・手当増など。
しかし、その裏には「採用・教育コストを抑えたい」という経営的打算があることが多く、
本質的な待遇改善や組織改革にはつながりにくいのが現実です。 - 退職引き止めの好条件、受けて残って良かった人は?
-
→ 残留して本当に良かったケースは、
・評価制度の見直しが行われた
・直属の上司や人事体制が変わった
・キャリアパスや権限が明確になった
など、根本が改善された場合のみです。一方、制度や人間関係が変わらないまま残った人は、
半年〜1年以内に再び同じ不満に直面する傾向が強いです。
