やす先輩40代半ば、転職10回の管理職。上場もベンチャーもブラックも経験してきました。失敗も学びも交えながら、キャリアや働き方に悩むあなたへ“現実的な解決策”を届けます。
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入社して間もない新人が「仕事ができない」と感じるのは、決して異常ではありません。
むしろ“できないのが当たり前”です。
しかし、現場では「新人が使えない」「もう見切りだ」「イライラする」といった声が飛び交い、本人も先輩もストレスを抱えがちです。
私も管理職として、多くの新人を見てきました。できない新人を「クビにしたくなるほど腹が立つ」と言う上司もいましたが、半年後には見違えるほど成長した例も数えきれません。
大切なのは、“できない状態”をどう支えるか。そして新人自身がどう受け止めるかです。
この記事では、「新人が仕事できないのは当たり前」と言える理由を整理しつつ、
・どこまで待つべきか(いつまでに伸びる?)
・先輩がイライラしないための関わり方
・新人本人が落ち込まない考え方
を、やす先輩の実体験を交えてお伝えします。
今の職場で悩んでいる人は、一度「ミイダス」で自分の市場価値を数値化してみてください。
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新人が仕事できないのは当たり前|「見切り」を急ぐ職場ほど危険
新人が序盤でつまずくのは、能力不足というより“環境にまだ馴染んでいない”だけです。にもかかわらず「使えない新人」「見切りだ」とレッテルを貼ると、本人の成長を止めるだけでなく、チーム全体の学習コストを底上げしてしまいます。ここでは、職場が勘違いしやすい3つのポイントを深掘りします。
理由はスキルではなく“慣れの不足”:新人を「環境適応の途中」として捉える
新人は「仕事のやり方」を知らないのではなく、「この会社でのやり方」をまだ体に落とせていません。私の経験上、序盤の“できなさ”は次の5つの慣れ不足が大半です。
・手順の暗黙知:チェック表にない“裏の手順”や社内流儀を知らない
・関係と文脈:誰に、どの順で声をかけると早いかの相関図がない
・言語と略語:社内用語・固有名詞・略称の意味が掴めない
・道具のクセ:ツール設定、テンプレの配置、保存ルールに不慣れ
・判断基準:どこまで詰めるか、どこで上げるかの合格ラインが不明
「新人 仕事 できない いつまで?」と聞かれれば、まずは1か月で“用語と導線”に慣れ、3か月で“反復業務の再現性”、6か月で“判断の型”が見えるのが目安です。速度に個人差はありますが、慣れの土台が整えば一気に加速します。
行動ポイント
・社内用語・固有名詞の“辞書”を共通化して渡す
・依頼導線(誰に、何を、いつまで)を図で渡す
・「合格ラインの例」を3パターン提示(最低限/通常/期待値超え)



“まだ慣れていないだけ”を“できない”と誤解する人が多いんです。半年後、別人のように成長してる新人を何人も見てきました。
「使えない新人」と決めつける職場のリスク:見切りはコスト高になる
「使えない新人を退職に追い込んだ」ような“厳しさ”は、短期のストレス発散にはなっても、組織には中長期の損失をもたらします。
・採用・育成コストの蒸発:半年の教育投資がゼロに戻る
・採用ブランドの毀損:口コミで「新人に冷たい職場」と伝播
・心理的安全性の低下:質問や報連相が減り、重大インシデントが増える
・属人化の固定化:ベテランの“抱え込み”が常態化しボトルネック化
・コンプラリスク:行き過ぎた指導がハラスメント扱いになる危険
NG例と置き換えテンプレ
・NG「なんでこれもできないの?」→ OK「この手順の“詰まり点”はどこだった?」
・NG「見切るからもう任せない」→ OK「難度を下げたタスクで成功体験を一度積もう」
・NG“放置して自走待ち”→ OK“15分スプリントで伴走→手放し”の段階設計
簡易チェック(週次)
・初動の質問件数は減っているか
・同種ミスの間隔が広がっているか
・タスク完了までの“停止時間”が短縮しているか



“見切る勇気”よりも“待つ覚悟”がチームを育てます。切り捨てた新人が、他社で活躍しているのを見るたびに、胸が痛むんですよ。
成長速度の違いを“才能”で判断しない:設計で伸び方は変わる
新人の伸びは「才能」よりも「設計」で決まります。私はいつも、成長を次の式で捉えています。
成長速度=インプット密度 × 反復頻度 × フィードバックの質 × 心理安全性
・インプット密度:最初に詰め込みすぎず、使う順に渡す
・反復頻度:同一タスクを“連続で3回”やらせ、再現性を先に作る
・フィードバックの質:結果だけでなく“意思決定の途中”に介入して修正
・心理安全性:失敗共有の場を“責めない合言葉”で守る
設計の具体策
・チェックリストは「完了項目の数」ではなく「詰まった項目の記録」を残す
・「15分で進んだことを1行で報告」ルールで小さな成功を可視化
・日次ふりかえりは事実→気づき→明日の一手の3点だけに絞る
メッセージ例
・「今日は“ここまで自力”でできたね。次はこの1手を足してみよう」
・「判断が迷ったら、期限・品質・相手の3条件で優先順位を決めよう」



才能より“設計”。同じ新人でも、仕組みを整えたチームは伸び方が全然違います。伸びないのは本人じゃなく、環境の方なんですよ。
新人の成長はいつまでに見極める?焦りを抑える判断軸
新人の評価は“時期”と“設計”で大きくブレます。早く見切るほど損をしますが、無期限の猶予も現場を疲弊させます。ここでは、私が現場で使ってきた「見切らないための見極め基準」を共有します。
見切りをつける前に考えるべき3つの視点
1)「任せ方」より「観察の仕方」を変える
・“結果”だけでなく“途中経過”を3点で見る(情報収集→判断→実行)
・観察メモは事実のみ。形容詞は排除(例:遅い×/開始時刻・停止箇所・所要時間○)
・新人 仕事 遅い 当たり前――“遅さ”の原因を特定(迷い/待ち/詰まり)に分解
2)本人の“失敗理由”を一緒に言語化できているか
・テンプレ質問:「どこで止まった?」「何が足りなかった?」「次は何を先に準備する?」
・“原因→対策→再現”の一筆メモを本人に書かせ、同じ場面で即再テスト
・「覚えてない」には再現実験で代替(同じ画面・同じ条件で復習)
3)教える側が『待つ余裕』を持てる環境か
・育成枠の時間(1日30分×5日)を先に確保。残業で捻出しない
・伴走→手放しの段階表(例:週1タスクは1→2→3回目でレビューを薄める)
・上司の“緊急差し戻し”を減らすために、締切の24時間前チェックを標準化
行動チェック(週次)
・途中経過の観察メモが3件以上あるか
・失敗理由の言語化→再現テストまで回せたか
・育成枠30分×5日を守れたか(守れない週はタスク配分を再設計)



『任せたのにできない』は実は“観察不足”。途中の迷いを捕まえられれば、1週間で空気が変わります。1ヶ月でできないのは異常じゃない、設計の出し直しサインです。
半年で判断していい?伸びる新人のサインとは
“半年で線を引く”のは一つの目安ですが、唯一解ではありません。私が見るのは速度ではなく軌道です。次のサインが出ていれば、半年以降で一気に伸びます。
1)指摘後の“反応速度”を見る
・初回指摘→翌日には同種タスクで修正できたか
・修正に必要な情報を自ら取りにいけたか(誰に、何を、どこで)
・“前倒し報告”が増えたか(締切24時間前の進捗共有)
2)同じ失敗の“処理”で伸びしろが分かる
・同じ失敗が起きても、停止時間が短縮している
・エラーログ(詰まった箇所・対処・所要)が残せている
・次回の開始手順に“予防1手”を入れている(チェック項目の追加など)
3)新卒・中途・パートで「成長期間」は異なる
・新卒:1ヶ月=用語と導線、3ヶ月=反復定着、6ヶ月=判断の型
・中途:1ヶ月=社内流儀の吸収、3ヶ月=既存スキルの移植、6ヶ月=改善提案
・パート:1ヶ月=範囲限定の自走、3ヶ月=隣接業務の補助、6ヶ月=ピーク時の即応
簡易スコア(週次10点満点)
・指摘反応(0〜3):翌日に修正できたか
・再現性(0〜3):同種タスクで成功を再現できたか
・自律行動(0〜4):前倒し報告・予防1手・情報取りの能動性
→ 合計7点以上が3週続けば“軌道良好”。5点未満が2週続けば“設計の出し直し”。
メッセージ例
・「昨日の指摘、今日は自分で予防1手入れられたね」
・「同じ場面で止まらなかったのは、開始前の準備が効いてる証拠」
・「次は締切24時間前に“未確定の1点”だけ共有しよう」



半年は“判決日”じゃなく“軌道確認日”。反応速度と再現性が出ていれば、そこからの伸びは早い。新卒・中途・パートで物差しを変えるのも忘れずに。
新人にイライラしない関わり方|放置も怒鳴りも逆効果
「何度言っても伝わらない」「また同じミスか」新人教育で最も多いストレス源は、“期待とのギャップ”です。
イライラを押し殺しても限界は訪れますが、感情をぶつけても状況は悪化するだけ。
新人の“できなさ”に反応する前に、仕組みと関わり方の設計を見直すことが、チームを守る第一歩です。
イライラの原因は「期待値のズレ」:使えない新人と感じる瞬間
先輩が「使えない」と感じる最大の原因は、教える側が描いている“理想の新人像”とのズレです。
「このくらいはできるはず」「自分の新人時代ならこうしていた」この無意識の基準が、現実とのギャップを生み、イライラの火種になります。
例えば、次のようなすれ違いが起きやすいです:
- 先輩:「一度教えたら覚えてほしい」
- 新人:「一度で覚えられる気がしない」
- 先輩:「調べてから質問してほしい」
- 新人:「何をどう調べればいいか分からない」
このズレは、本人の努力不足ではなく、“指導設計の不一致”。
人は「分からないこと」を怒られると、学習よりも防御反応が先に立ちます。
結果として、報連相が減り、再ミスが増え、さらにイライラが加速する――悪循環です。
行動ポイント
- “できる前提”ではなく、“知らない前提”で伝える
- 教えた後に「どこが分からなかった?」と逆質問する
- 理解度を1→3段階で確認する(1:説明理解/2:再現可/3:応用可)



イライラの根っこは“期待のズレ”です。『自分ならできた』を封印して、“相手の今”を見る。それが育成の第一歩でした。
放置と自立の違いを見誤らない:仕事ができない新人 対処
「放っておけば覚える」「失敗しながら学べ」この“放置型育成”は、自立支援とは真逆です。
新人にとって、最も危険なのは“誰も見ていない状態”。
質問も報告も怖くなり、判断を誤ってさらに孤立します。
放置と自立の違いは、“見守りの有無”にあります。
放置=気にしていない、自立=信じている。
この差が、新人のメンタルと成長を分けます。
具体的な自立支援のステップ:
- 伴走段階(1〜2ヶ月):小さな成功を積ませ、報告頻度を高く
- 半手放し段階(3〜4ヶ月):結果レビューより“考え方”を問う
- 完全自立段階(5〜6ヶ月):判断を任せ、必要時のみ助言
放置を避けるには、「見ているサイン」を小出しに出すこと。
たとえば、チャットで「昨日の件どう?」と一言送るだけでも、
新人は「気にかけてもらえている」と感じ、行動が変わります。



“放置”と“任せる”は似て非なるもの。自立を促すには、まず“見てるよ”のサインを出すこと。孤独は最大の敵です。
新人にイライラしない方法:覚えが悪い新人への教え方
覚えが悪いと感じる新人ほど、“教え方を可視化”することで変わります。
人は、言葉よりも「手順」「タイミング」「感情の余白」で学びます。
以下の3つの軸で、教える側のストレスを減らしながら成長を促せます。
1)感情的に叱るより“手順化”を重視
・「手順書+口頭フォロー」で教える(口頭だけにしない)
・“いつ・どの順で・どの条件で”できるかを明文化
・「感情をぶつける場」ではなく「事実を整理する場」に変える
2)失敗の共有は“責めずに振り返る”
・「なぜできなかった?」ではなく「次に何を変える?」を聞く
・同じミスを全体で共有し、「再発防止の場」にする
・“責められない失敗”を1つ設けておく(心理的安全の演出)
3)ストレスが限界なら距離を取る勇気も必要
・感情が溢れる前に、物理的距離を取る(席替え・担当分担)
・別の先輩に一時引き継ぎ、“リフレッシュ期間”をつくる
・“限界=相手を潰す寸前”というサインを見逃さない



“叱る”より“整える”。感情をぶつけると、その瞬間はスッキリしても、翌日から信頼が消える。落ち着いて設計を変える方が、結果的に早いんです。
新人が落ち込む時のフォロー|「陰口」や「悪口」から守る姿勢
新人が落ち込むとき、その原因の多くは「仕事の失敗」よりも人間関係によるダメージです。
特に、「陰口」や「悪口」が聞こえてくる環境では、本人の努力が一瞬で無力化されます。
このとき指導者が取るべきは、“注意”より“姿勢”。
守る姿勢を見せることが、何よりも強いメッセージになります。
悪口を聞かせない工夫:目の前で悪口を言う人 職場
「新人が使えない」「見ててイライラする」そんな言葉を新人の前で平然と言う人がいます。
しかし、それは“教育”ではなく“攻撃”。職場の空気を濁し、学びの意欲を根こそぎ奪います。
指導者としてやるべきは、注意ではなく“遮断”です。
感情的に注意すると「庇ってる」と反感を買いやすい。
それよりも、空気の流れそのものを変える方が効果的です。
実践例:
- 会話が悪口に転じた瞬間に、話題を変える(「その件、後で整理して報告しようか」など)
- 新人の前で他者の悪口を絶対に言わない
- 評価は「行動ベース」で共有(感情語を排除)
- どうしても言葉で止められない場合は、場を離れる勇気を持つ
心理学的にも、人は「第三者が無反応でいる」ことで、“この話は広がらない”と察知します。
その静かな拒絶こそ、最も効果的な“悪口ストッパー”です。



新人の前で悪口を言う空気を放置するのは、教育放棄です。守る姿勢を見せた瞬間、新人は“この人の下で頑張りたい”と思えるようになります。
フォローが信頼を生む:新人教育 自分の仕事ができない時こそ試される
忙しいときほど、新人へのフォローは後回しになりがちです。
しかし、本当に信頼を築けるのは、自分の仕事がうまく回らない時の対応にあります。
人は「余裕のあるとき」ではなく、「余裕のないとき」の言動で、本音を見抜きます。
たとえば、次のような行動がフォローの分かれ道になります。
- 新人がミスしたとき、「あとで説明する」ではなく“10秒だけ声をかける”
→「大丈夫、あとで一緒に見よう」 - 報告を忘れたとき、いきなり叱るのではなく“理由を確認する”
→「忘れたのか、迷ってたのか?」 - 教える時間が取れないときは、“時間指定”して再設定する
→「18時に5分だけ時間取るね」
たったこれだけでも、新人の“孤独感”は劇的に減ります。
信頼は言葉ではなく、小さな行動の積み重ねで築かれるのです。



僕も忙しさに流されて新人を放置したことがあります。でも“10秒フォロー”を意識するようになってから、チームの空気が変わりました。
落ち込みやすい新人の励まし方:新人 使えないと 言われたらどうするか
新人が「使えない」と言われて落ち込むとき、最も大事なのは“励ます言葉”ではなく“再起の仕掛け”です。
言葉だけの慰めは一時的。心を立て直すには、再挑戦できる“場”を作る必要があります。
具体策:
- ミスをした本人に「修正版」を任せる(信頼の再確認)
- 次の小タスクを成功できるサイズに分解する
- 「昨日より1歩進んだこと」を一緒に振り返る
- 第三者のポジティブフィードバックを伝える(「○○さんが助かったって言ってたよ」)
また、「言われた言葉」に囚われたときは、事実と感情を切り分けるサポートを。
「“使えない”って言われたけど、どの部分がそう感じられたのか?」と一緒に整理することで、
本人は「直す部分」と「気にしなくていい部分」を分けられるようになります。



“励ます”は“任せる”と同義。小さな信頼の再設定が、新人の再起力を育てます。守ることと、挑戦させることは同じ方向なんです。
やす先輩の体験談:できない新人を「覚醒させた」半年間の記録
当時の状況:使えない新人を見切る寸前だった
入社2ヶ月。配属された新人のAくんは、報連相が遅く、軽微な入力ミスや命名規則の取り違えが続いていた。僕の指導も空回りで、同じ指摘を週に3度繰り返す。現場の締切は逼迫し、周囲からは「もう見切ろう」という声が出はじめていた。
正直、僕自身も限界だった。深夜に残ってレビューを直しては、「これ以上は無理かもしれない」と心が折れかけていた。ただ、ある日Aくんの作業ログを眺めていて気づいた。ミスの発生箇所は毎回バラバラではなく、“開始前の準備が曖昧なとき”と“途中で不明点が出たときに手が止まる”の2パターンに集中していた。彼はサボっているのではない。詰まる瞬間が可視化されていないだけだと分かった。



「もう無理だ」と言いかけた瞬間、ふと“自分の指導方法”を見直してみたんです。
感じたこと:できない原因は新人ではなく“教え方”にあった
僕は「一度説明したよね?」と結果だけを見て叱っていた。けれどAくんの作業メモには、“判断が止まった地点の印”がいくつも残っていた。
例えば「提出前にレビュールールA→B→C」と口頭で伝えていたが、Aくんの頭の中では「Aの前に“最新版の場所を確かめる”」「Bの対象は“差分のあるファイルだけ”」など、暗黙の前提が抜けていた。僕は“手順”ではなく“雰囲気”で教えていたのだ。
そこで気づいた。理解できないのは本人の資質ではなく、指導の粒度と順番の設計ミスだ、と。



「なぜ理解できない?」と怒っていた自分が、説明を変えたらすぐ伝わった瞬間がありました。
行動:手順書を作り、失敗時の“再現テスト”を導入
翌週からやったことは3つだけ。
- 10分手順書
仕事を「開始前チェック(3項目)/実行(5項目)/提出前チェック(3項目)」に分解。“いつ・どの順・どの条件”で実行するかを一枚に落とした。 - 15分スプリント+途中報告
15分ごとに「今どこで止まったか」を1行でチャット報告。“止まった地点”を可視化して、放置の時間を消した。 - 再現テスト
ミスが出たら、その日のうちに同条件で3回連続トライ。毎回、止まった地点を言語化し、予防の一手(チェック項目の追加・ショートカット登録など)を必ず一つ入れるルールにした。
1週目で、提出物の“停止時間”が半分になり、2週目には“提出前の不備”が3割減。Aくんの表情に余裕が出てきた。僕も叱る回数が目に見えて減った。



「同じ失敗を繰り返すな」ではなく「同じ場面を一緒に再現しよう」と声をかけました。
結果:新人が自信を取り戻し、半年後にはチームの要に
3ヶ月目、Aくんは“提出前チェックの自動化テンプレ”を自作した。僕が作った10分手順書に、自分の言葉で補足を入れ、後輩にも共有できる形にした。
4ヶ月目には、同僚の作業の停止点を見つけ、先回りの質問までできるようになった。
6ヶ月目、リリース前の大詰めで、Aくんが差分の取り漏れを検知し、重大インシデントを未然に防いだ。チームの評価は一変し、Aくんは“チェック設計の要”としてアサインされるようになった。
僕は、叱るより見守る勇気が、本人の自尊心と再現性を同時に育てることを、目の前で学んだ。



叱るより“見守る勇気”が、本人を大きく変えると実感しました。
学び:新人の「できない」は“伸びしろ”の裏返し
この半年で確信したのは、成長は才能より設計で決まるということ。
・結果を叱るのではなく、途中で手を差し込む設計にする
・ミスは“人格の否定”ではなく、仕事の仕組みの欠陥として修正する
・再発防止は“根性論”ではなく、再現テスト+予防の一手で固める
早く見切るほど、本人の伸びしろも、チームの学習機会も失う。
僕の結論はシンプルだ。「できない」は“未設計”のサイン。設計を直せば、人は変わる。



早く見切るほど、自分もチームも成長機会を逃す。これが僕の結論です。
あなたの「新人への期待値」は高すぎないか?
新人に対して「なんでこれができないの?」と感じた瞬間、実は自分の“基準”が高くなりすぎているサインかもしれません。
人を育てる立場になると、無意識のうちに「自分ならできた」時代の基準で相手を見てしまいます。
けれど、時代も環境も、求められるスキルも変わっています。
新人の“できなさ”に過剰反応してしまう背景には、教える側の焦りと疲弊が隠れていることが多いのです。
新人の“できなさ”に過剰反応していないか?
新人がミスをしたとき、感情が揺れるのは“責任感の裏返し”です。
しかし、反応が過剰になると、指導は「支援」から「制裁」へと変わってしまいます。
たとえば、報告漏れに対して「なんで言わなかったの?」と感情的に詰めてしまうのは、
“自分も同じミスを上に怒られるのでは”という防衛本能が働いているケースが多い。
まず、自分に問いかけてみてください。
- その怒りは「新人への失望」ではなく、「自分が追い詰められている」サインでは?
- 相手を叱ることで、自分のストレスを発散していないか?
- 本来の目的(育成・信頼構築)を見失っていないか?
感情の矛先を変えるだけで、相手の伸び方は劇的に変わります。
怒りそうになったら、「この状況をどう仕組みで防げるか?」に視点を切り替える。
これは、優しさではなくプロの対応力です。



新人の失敗にイラッとしたら、“仕組みの改善チャンス”と捉える。そう切り替えた瞬間から、指導の質が上がります。
「できる人基準」で評価していないか?
人を教える立場になると、どうしても“自分の基準”を無意識に押し付けてしまいます。
特に経験豊富な人ほど、「普通これくらいできるだろう」と思いがち。
しかし、“できる人の普通”は、新人にとっての“奇跡レベル”であることが多いのです。
たとえば、
- 一度説明すれば覚える
- 締切前に自分で進捗を整理できる
- ミスを自己修正できる
これらは全て、「経験値」と「失敗の記憶」が蓄積されているからできる行動です。
新人がまだ“地図”を持たずに動いている段階で、地図を持つ人のスピードを求めてはいけません。
指導者が陥りやすい落とし穴は、「新人を育てる」のではなく「自分のコピーを作ろう」としてしまうこと。
違いを否定するより、“その人なりの伸び方”を探すほうが、結果的に早く成長します。



“自分ならできた”は魔法の呪文みたいなもの。気づいたら自分を基準にして人を測ってる。でも新人は、あなたの“過去の延長線上”じゃない。
教える側の“余裕”を取り戻すには?
新人教育のストレスを抱えている人の多くは、「自分の仕事」と「育成」が重なり、常に時間が足りない状態です。
余裕を失うと、どんなに良い人でも視野が狭くなり、叱り方が厳しくなります。
だからこそ大切なのは、自分の環境を整えること。
- チームで新人フォローを分担できているか?
- 教える時間をスケジュールに“業務として”組み込んでいるか?
- 自分のキャパが限界を超えていないか?
もし、どれも難しいと感じたなら、それは「あなたが悪い」のではなく、職場の設計が悪いのかもしれません。
自分の環境が整っていない状態では、誰を教えても疲弊します。
そういうときは、環境を変えることも“責任ある選択”です。
ビズリーチのようなスカウト型転職サービスを使えば、
あなた自身のスキルやマネジメント経験を“正当に評価してくれる職場”を探すことができます。
新人を育てたい気持ちがあるなら、それを支える土台(職場環境)が必要です。



人を育てるには、自分に余裕がいる。自分の環境が整ってないなら、変える勇気も“教育力”の一部だと思うんです。
まとめ
新人が仕事できないのは“当たり前”です。
それは「能力がない」からではなく、まだ環境に慣れていないだけ。
問題なのは「できないこと」そのものではなく、“できない状態をどう扱うか”にあります。
怒っても、本人の学習スピードは上がりません。
見切っても、次の新人で同じ課題が再発します。
だからこそ、必要なのは感情ではなく仕組み。
「どうすれば再現できるか」「どこで止まったのか」を一緒に見つけ、育成のプロセスを“設計”することが、結果的に最短の成長を生みます。
そして、教える側が“待つ余裕”を取り戻すことも忘れずに。
焦らず、責めず、仕組みで支える。
その意識の積み重ねが、新人の自信とチームの安定を同時に育てていきます。



“できない”を責める職場は短命です。支える仕組みを作る職場は、必ず強くなる。僕は何度もその瞬間を見てきました。
よくある質問
- 新人が仕事できないのはいつまで当たり前?
-
一般的に、3〜6ヶ月は“できない期間”が自然です。焦るより、「昨日できなかったことが今日はできた」「質問の質が変わった」など、変化の兆しを見逃さないことが大切。成長は一気ではなく、段階的に訪れます。
- 使えない新人にイライラしてしまう時の対処法は?
-
感情ではなく、事実ベースで関わるのが鉄則です。チェックリストや進捗表を活用し、「何が・どの段階で・どれだけ進んだか」を“見える化”すれば、指摘が個人攻撃になりません。イライラの多くは「曖昧なまま進む不安」から生まれます。
- 新人がクビになることはある?
-
試用期間中でも、重大な規律違反や勤務放棄などを除けばほとんどありません。多くの場合は、評価よりも“サポートの不足”が原因です。フォロー体制や教育設計を整え直すことで、改善するケースがほとんどです。
- 新人が悪口を言われて落ち込んでいる時は?
-
悪口の“内容”を正すよりも、本人を守る姿勢を示すことが何よりの支えになります。周囲の言葉を遮断し、「自分は味方だ」と伝えるだけでも、回復のスピードは早まります。信頼できる先輩の存在が、心理的な盾になります。
- 新人教育が辛い時、どうすればいい?
-
まずは一人で抱え込まないこと。上司や同僚に共有し、分担やサポートを相談しましょう。もし構造的に改善が難しいなら、ミイダスで市場価値を診断し、自分を正当に評価してくれる環境を探すのも一つの道です。環境を変えるのは“逃げ”ではなく、成長の再設計です。
